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オバマ大統領の就任からあれこれ [政治・経済]

大統領就任演説は多くのアメリカ国民からは期待はずれだったものだろう。もっと高揚感を期待したはずだ。前日から伏線は敷かれていた。「奉仕」だ。それが演説では「責任」となる。そう遠くない先に「痛み」に変わるだろう。演説自体は良心に訴える良い出来だと思う。しかし、これまで繁栄第一から多くの国民が抜け出せるだろうか。演説は本当にアメリカ人の心まで届いているだろうか。

さて、次に人事であるが、
国務長官のヒラリーは非常に使いづらく、また他国と円滑に協議をまとめられるか非常に疑問である。前任者が非常にクレバーな戦略家のライスであったため、そのギャップは激しい。選挙戦の様なクレバーさが無いことをいつか露呈するだろう。
ガイトナー財務長官は実務家としては申し分ない。あとはECBのトリシェらと折り合いがつくかどうかである。中国とはいきなりけんか腰であり、意外であった。日本とは違う言うことを聞かないドル債のお得意様への戦略を誤ると危うい。

経済を立て直すためには民主党得意の保護貿易であり、日本、韓国、中国との関係はぎくしゃくするだろう。それでもなりふり構わない。それしか戦略がないのだ。共和党であれば戦争を始めてしまうところだが。ビッグ3はすべての救済は無理だろう。この舵取りも注目だ。

テロ対策はどのように手を打ってくるだろうか。キューバの「グアンタナモ米軍刑務所」を閉鎖する方針を出すなど、良心には訴えかけているが、ハマスが就任前に動き出したように、テロリストも活動を再開するだろう。アフガニスタンには出兵を継続する方針はすでに出ているが、当の軍司令官が言っているようにこの難しい戦争にどう対処するかが最大の課題だろう。下手を打てば、イラン、ロシアの台頭を許すことになる。

就任演説を聴きながら、どうしてこの難しい局面で大統領になりたいのか、そのモチベーションが理解出来ないでいた。しかし、数年前にPMIのコングレスにてアメリカのPMと次のような話をしたことを思い出した。アメリカ人は課題をロジカルに処理できる。決して自分の問題と背負い込まないところが日本人と違うところである。困難な課題であっても、ロジカルに最善のパフォーマンスを出して、(結果が思わしくなくても)自分の成果はアピールするのだろう。
ブッシュ氏がそうであったように。



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自動車保険と健康保険 [政治・経済]

面白い話がある。

この季節柄、周りに風邪をひいた人間が多くいる。そしてこんな会話が交わされる。

「病院へ行ったか?」
「いや、市販薬を買って飲んでいる。でもなかなか効かない。」
「病院へ行った方がいい。医者から処方してもらった方がよく効いて安い。」

話題は変わり自動車事故の話になる。

「昨日、車のバンパーをぶつけてしまった。」
「その程度だったら、自動車保険を使わず、自腹で払った方がいい。保険料の値上がりの方が高くつく。」

何も違和感のない会話だろう。

しかし、どちらも保険の話である。なぜこんなに意識が違うのか。
どうも、我々日本国民は健康保険を保険と思っていないようである。「国が負担してくれている。そのために保険料を払っている。」半ば、保険料が税金と化しているかの様である。
言うまでもなく、健康保険により、掛かった医療費は支給額(自己負担以外の額)は我々の保険料から出ている。しかし、自動車保険と違い、どんなに病院を利用して支給をもらったとしても、毎月の保険料は変わらないのである。それならば、病院に行かなければ損である。

自動車保険はなるべく使いたくないし、一方で自腹もいやと言うことで、必然的に事故防止に対する意識が高くなる。この考えが健康保険にも浸透すべきだ。

病気に罹った人を相互扶助で助けることは原則であるが、我々自身の掛け金以上に助け合うことはできないのである。病気にならない意識を持ってもらうためにも各個人の収入に応じて、保険料をコントロールすべきである。しかし、行き過ぎの例がある。アメリカ合衆国の民間保険だ。掛け金が高すぎて加入をしない人も多いという。オバマ次期大統領は公的保険を主張している。保険対象と範囲と程度も検討する必要があるだろう。

高齢者医療や難病医療については別途、述べたい。
タグ:健康保険
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オバマ氏のイバラの道 [政治・経済]

次期大統領のオバマ氏。就任演説のでフィーバーぶりは最高潮を迎えると思うが、就任後は問題山積みである。 
 イスラエル・パレスチナ(イラン)
 イラクの戦後処理
 EUとの主権争い
 ロシア、中国、北朝鮮の牽制
 国内経済、特に自動車産業救済である。

上から4点はアメリカ合衆国の政治空白(最後の一日まで仕事をしないブッシュ氏が悪い)を突いて、世界は動き出しており、どんどん情勢は悪くなっていく一方である。苦心して取り込んだユダヤ人の支持のためにも親イスラエルは崩せない。この点でもフランスとは対立を深めていく一方だ。冷戦崩壊後のアメリカ合衆国の一極集中も終わり、各国台頭の対話の時代に突入しようとしているにも関わらず、この孤立は非常に不利だ。

そして、自動車産業の救済。雇用維持のための救済と言っているが、やはり支持を取り付けた自動車労働組合への配慮だろう。自動車産業の問題は車が売れないこととと労働者への福祉保証である。かっての航空会社のように、各企業をいったん破綻させ、労組問題を一度リセットした上で、整理・立て直しを図るべきであるのに対して、労組に縛られて、融資を垂れ流す危険性がある。前回の救済案否決で言われているように、30年かかってできないことが今できるわけがない、もはや、選択肢は一つなのである。

そんな決断を就任早々から迫られて、出方によっては支持率の急低下を招きかねない。

彼の支持層は幅広いが、黒人、ユダヤ人、白人労働者、いずれも約束や弁明を重ねて取り込んだ脆い支持基盤である。日本の総理大臣と似たような境遇ではあるが、問題の深刻さはオバマ氏の方が数倍上だろう。

”CHANGE" を望んでいる人々が”CHANGE"によって不利益を被ることになるだろう。
やはり、支持率低下。しかしマーケットは好感。実体経済としては自動車産業はしばらく低迷と読む。

 
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世界の中で最も早くこの不況から脱するのは日本か(中学生による思考実験) [政治・経済]

麻生総理大臣が宣言した「世界の中で最も早くこの不況から脱するのは日本だ」
なかなか面白い主張である。中学一年生であるウチの娘に聞いてみた。

「これホントかな?」
「さぁー」

ヒントを与えてみる。

・不況とは、「消費者の消費が停滞し、物が売れない。そのため、企業の売り上げは低下し、その従業員の給与は上がらず、また失業者も増える。これが更に消費の停滞を招く。」という悪循環な状態。
・日本の主力産業は何か。
・不況下でも求められる産業は何か。
・不況をいち早く脱しそうな国はどこか。

いちいち相づちを求めながら推論していく。
彼女の答えた国は

フランス

非常に単純であるが、ロジックに無理は無い。
結果はいかに。
タグ:経済対策
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渡辺喜美氏の戦略 [政治・経済]

今、最も熱い政治家の渡辺喜美氏。
彼の危機意識とその意思表明には最大限の賛辞を送りたい。

しかし、その方法が何故解散総選挙なのか、まったく理解できない。
解散総選挙を行うとどうして、氏の考える内閣が出来上がるのか。
誰がリーダーなのか。そのリーダは霞ヶ関を打ち負かす力量とフィージビリティの高い案があるのか。
今のままでは、対案なしの現状否定を主張しているだけに過ぎない。
「変えないといけない」と言うなら、「誰が何をどのように変えるのか」を明確にしてもらいたい。
他党の党首と違うところを見せてもらいたいものである。
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麻生総理大臣への陣中見舞い [政治・経済]

麻生総理大臣の支持率が下がり、苦戦中である。どうしてここまで苦戦するのであろうか。「ねじれ国会」や「経済打撃」が挙げられるであろうが、それ以外にも構造的問題が問題があると思われる。確認してみたい。

<自公連立>
給付金制度の立法化で手間取り、完全に白けてしまった。これはそもそも公明党の支持基盤への還元策であり、これを自民党も政策に掲げてしまったところに不幸がある。運用策など何も考えていない公明党の尻拭いをさせられているのだ。富裕層への給付云々の個人的心情の吐露は良心として理解できるが、そこはぐっと抑えて、政策として掲げた以上、現実的な運用案を淡々とこなせば良かったのである。これからは公明党のメチャ振り政策は公明党側に特命大臣をおいて執行させるが自民党としてベストと思われる。与党として一体感を見せつつ責任は分担し、なおかつ自民党が公明党を助けている構図が描ければ上出来である。

<小泉政権による自民党の票基盤の崩壊>
とっくの昔に自民党の票基盤は崩壊していたと考えるとつじつまが合う。小泉政権時の総選挙での圧倒的勝利は「構造改革」というキーワードだけで盛り上がってしまった票である。構造改革により残った金融機関は息を吹き返したが、多くの痛みを伴った。特に地方の没落は多くの票基盤を失ったと見る。自民党総裁の交替の度に期待を込めて、支持率が急増するが、それは一過性のものである。一定量の堅実な公明党の票基盤にも頼っている以上、もはや、自民党の票基盤は死に体なのである。誰が総理大臣になっても現実的には国民に痛みが伴う政策しかなく、支持率は低下するのである。

<小沢氏の巧みな戦略とマスコミと反乱分子>
これはねじれ国会が前提であるが、いかにも民主党側が歩み寄っているように見せかけて、罠を仕掛けている。その罠を自民党も気づいて回避しているわけであるが、それが補正予算の期越えといったダメージになる。この件についてマスコミを味方につけることができていない。挙句の果てには渡辺氏のような「シンプルな考えの方」が出てきてしまう。おそらくこの八方塞の状況も小沢氏の政略であると思われるが、こんな複雑な構図で勝ち抜くのは並大抵ではない。(現に福田氏は投げ出した。)

他にも問題発言、誤読が総理大臣の資質として問われたりするが、そもそも麻生氏は問題発言の多い政治家だったことを国民がすっかり忘れていることが悪い。(笑) 現実的には秘書のサポートが悪いだけのことである。若干、情けなさはあるが誤読であそこまで叩かれることもない。

個人的には麻生氏の存在が一番光った時期は福田氏との総裁選で敗北した直後であり、あの時に見せた潔さと寡黙さは非常に好感が持てた。その後、次期総裁に向けて多数派工作を着々と進めてきたところはさすがと感心したが、もう少し準備すべきことがあったようだ。


 
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